盛岡のCafeJazz 開運橋のジョニー 照井顕(てるい けん)

Cafe Jazz 開運橋のジョニー
〒020-0026
盛岡市開運橋通5-9-4F
(開運橋際・MKビル)
TEL/FAX:019-656-8220
OPEN:(火・水)11:00~23:00

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幸遊記NO.560 「助川太郎のレクイエムンド・ギター」2021.10.10.盛岡タイムス
 ギタリスト・助川太郎さんのニューアルバム「レクイエムンド」を聴きながら、僕は若かった頃を想い出す旅に出ていた。彼は、1973年11月生まれ。名前が示すようにれっきとした長男。僕の二人目の息子と同い年ということもあって、親しみを覚えました。しかも僕はつい先日十何年振りに息子夫婦とあって少しばかりの会話をしてきたばかりであるせいか、ギターの音色が心に沁みた。
 レクイエムエンド。このタイトル見てすぐモーツアルトの曲浮かんできたが、会社員だった彼の父が昨2020年亡くなられたのだと。中学校音楽の先生だった母の影響か?高校時代はエレキギターを弾き歌っていたという。東京都立大英文科を卒業すると、米バークリー音大の奨学金を得て留学。ジャズギター、音楽理論、編曲を二年半で修得。更にニューヨークへ出て、演奏し学び経験したことは、誰かのマネやコピー演奏では、観衆は拍手せず、本当に自分スタイルを見付けなければということ。ひたすらジャムセッションに通い、彼が会得したのはジャズを素材とする自由な作曲法。いわゆるストレートなジャズを演奏しない演奏家になる決心だった。帰国して3年後、自分が好きな南米の音楽を体験しにブラジルを旅し、結果的に現在のスタイル「南米の音を土台としたギターのためのオリジナルミュージック」にたどり着いた様子。
 その新作は全曲オリジナル。僕も若い頃プロデュースしたレコードは必ずオリジナル曲メインとしたことなどを想い出させてくれて嬉しくなった。ブラジルのコーヒー豆、なにもない漁師町の気分、山奥のカフェ、アルゼンチンの踊りのリズム、父の畑の風景、コロナ禍の中の昨日の明日、うまくいかなかった日の演奏気分、同い年の音楽家友人が亡くなってしまったけれど、最後に美しい希望の光が差し込んでくる。そんな思いを詰め込んで作曲演奏した彼の「レクイエムンド」。そこに流れるリズムは南米のちょっとけだるいような、それでいて明るさのあるほどよい調子。上半身裸で古いギターを抱きかかえた裏ジャケは人を泣かすが昇りくる朝日の光は希望を指し示し、表ジャケは緑に輝き、空に向かう二人の魂にも見てとれる彼の絵。このCD作品もきっと終わりのない旅(エンドレスジャーニー)を続けてゆくだろう。



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