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僕は何がしかの用事があって上京すると、少しでも時間がある時は必ず中古レコード店や古書店に足が向く。先日は復活なった横浜野毛日本最古のジャズ喫茶「ちぐさ」の5周年にお招きを受け、上京した際、新宿3丁目の集中するデイスクユニオンに足を向け、最初に入ったロック館を眺めていると、マスクをした男性に「ジョニーさん!」と声を掛けられた。
マスクを外し現われた本物のマスクは、音楽ジャーナリストの若杉実さん(48)。手には何枚ものレコード。会計も並んでいて時間がかかりそうなので、「僕はジャズ館に行ってますから」と声を掛け、ジャズ館にやって来た彼と近くの喫茶店で少し話をした。若杉さんは昨2016年4月20日(僕の誕生日)に、シンコーミュージックから「東京レコ屋ヒストリー」(460p)を出版した人。 この本は1903年から現在まで東京の音楽文化を発信し続ける“レコード屋”の歴史をつぶさに追った史上初のドキュメンタリー!と帯にある様に、日本最古の輸入レコード屋に始まる過去から未来までをもあぶり出しながら、昨今のオンラインショップの利便性も説いているが、居ながらレコードを受け取れる恩義と同じくらい、空虚感も溜まっていく。同じレコードなのにどこかが違うのは、いつどこにどうやって行き、どんな思いでどんな風に探し、どんな対応をしてもらってこのレコードを手に入れたか!とその愛着の違いまで説いている彼は2万数千枚の収集家でもある。 ジャズレコード史も今年2017年で丁度100年。僕のレーベル「ジョニーズディスク」も40周年を迎えた。当時僕が制作したそのレコードも何枚か見つけたが、1枚7000円から1万円以上もする高値で売られていることに驚きと喜び、そしてため息までが同時にこみあげてくる。5作目の「海を見ていたジョニー・坂元輝トリオ」解説・五木寛之に至っては和ジャズの名盤中の名盤と言われ、1枚何と10万円を超す超高値。 それらジョニーのレコードはCD盤に焼直し2007年から渋谷ジャズ維新シリーズとしてウルトラヴァイブから再発!となったが、その監修をしたのが若杉実さんで、以降、新作の宣伝にも一役買ってくれていて、ありがたい存在の人。彼は栃木県足利市出身、現川崎市在住。2014年には「渋谷系」(シンコーミュージック)という本もものにしている渡良瀬の男なのである。 戻る |
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