盛岡のCafeJazz 開運橋のジョニー 照井顕(てるい けん)

Cafe Jazz 開運橋のジョニー
〒020-0026
盛岡市開運橋通5-9-4F
(開運橋際・MKビル)
TEL/FAX:019-656-8220
OPEN:14:00~24:00

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幸遊記NO.16 「及川正雄のミシシッピー号」2011.4.25.盛岡タイムス
 開運橋のジョニー開店記念日4月8日付けの東海新報に「津波に負けず無傷でケース入りの漁船模型が見つかる」という記事が載っていた。この模型の漁船を作ったのは、大船渡市大船渡町赤沢在住の及川正雄さん(83才)。
 今から19年前の1992年4月、白血病で49才の若さで亡くなった義弟、佐藤進一さん(妹福子さんのご主人)の供養のために作った船だったという。進一さんが機関長として乗船していた「第18昭福丸」の50分の1の模型で四十九日の法要に合わせて仏前に供えたものだったらしい。家は津波で流されたが、アルミフレームをボルトで固定した頑丈なプラスチックケースに入っていたため、沈まずに航海し自宅近くに戻っていたというのだから、まさに奇跡。今は高台にあって無事だった造船所(及川さん宅)に帰って、あったかいシャワーで洗ってもらい、日なたぼっこしながら、津波を乗りきって戻った船体を休めている。
 製作者の及川さん自身は、かつての東京大空襲から逃れ、両親の故郷、大船渡市に17才で疎開して来た。北海道から東京へと巨大な筏(いかだ)の木材を曳航する、タグボートが大船渡に寄港した際から、その蒸気船の釜焚人夫として乗船した経験を持つことから、定年後は、自宅の四畳半に「サンアンドレス造船所」と名付け、数十隻も造ってきた。
 模型の船とはいえ、実船の設計図と、現地の港へ足を運びあらゆる角度から船体の写真を撮り、それを元に、木、ゴム、銅、真鍮などの本物素材を用いて部品作りから始め、船上の機械器具や手すりに至るまで形状や色、その位置、灯まで、正確に作り付ける入念さには驚くばかりだ。
 90年代中頃だったろうか、及川さんは陸前高田まで時折「やぶや」のそばがおいしいと食べに来て、帰りに「ジョニー」に寄って珈琲を飲んでくれた。ある時その美しい木造船をジョニーの窓に飾ってくれと持って来た。それは何と1910年代から20年代にかけてジャズ誕生の地、ニューオリンズからジャズを乗せて、ミシシッピー河をシカゴへと上っていったリバーボート「ミシシッピー号」だった。あの船も津波を乗り越えニューオリンズへ向かっているのだろうか。




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